「有無同然」 妬む必要はない

「田無ければ、また憂いて、田有らんことを欲し、
 宅無ければ、また憂いて宅有らんことを欲す。
 田有れば田を憂え、宅有れば宅を憂う。
 牛馬・六畜・奴婢・銭財・衣食・什物、
 また共にこれを憂う。有無同じく然り」


(意訳)
〈田畑や家が無ければ、それらを求めて苦しみ、
 有れば、管理や維持のためにまた苦しむ。
 その他のものにしても、みな同じである〉

 

「容姿やお金に恵まれ、才能もあれば、どんなに幸せだろう。」と思っても、有れば有る苦しみがある。

 

 例えば、「結婚すれば、幸せになれる」と思って、結婚をする。

ところが結婚すると、理想と現実の違いを思い知らされたり、それまで気づかなかった相手の欠点が目につくようになったり、人間関係の煩わしさもいろいろ増えたりして、「やっぱり、独身時代のほうが気楽でよかったな」と後悔している人もあるようです。

 

 「結婚したまえ、君は後悔するだろう。結婚しないでいたまえ、君は後悔するだろう」

デンマークの哲学者・キルケゴール

 

他人を妬む必要はありません。

有無同然なので有る人にも苦しみがあります。

 

スティーブ・ジョブズ氏は、晩年に、「私はビジネスの世界で成功の頂点に君臨した。他の人の目には、私の人生は、成功の典型的な縮図に見えるだろう。しかし、仕事を除くと喜びの少ない人生だった」と告白していました。

 

「他人の幸福をうらやんではいけない。 なぜならあなたは、彼の密かな悲しみを知らないのだから。」

ダンデミス

 

「呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。」

夏目漱石吾輩は猫である」より